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人事屋修行記(第96話)

転勤

2006年の6月に会社に入って5回目となる転勤をしました。新宿の本社から宮城の工場に勤務場所を移したのですが、課長のポジションも、担当範囲もまったく変わりません。当時も給与計算部隊を人事課に抱えており、課題が山積みだったので、そこを重点的に見てくれというものでした。

 

当時の給与は経験が長いメンバーが大半で、全員がそれなりにしっかりと仕事をこなしてくれていた反面、強力なリーダーシップを発揮して、仕事のカイゼンや効率化を進めてくれるキーパーソンが不在で、徐々に現場力が落ちてきている感じでした。

 

仕事というのは、前回までと同じやり方をやっていると、お客様の期待度が高まって行く分だけ相対的に満足度は下がっていきます。「今までどおりだから大丈夫」とは、たくさんの人々が間違いやすいポイントで、常に期待度を上回る結果を届けていかなければ生き残っていけません。

 

日々の業務を一番よく知っているのは、現場で実務を担当しているメンバー一人ひとりです。実務担当が、日々仕事を進めていく中で、もっとラクな方法はないか、とか(いい意味で)手抜きができないかなど、考えながら取組む中で、カイゼンのアイデアは出てくるものです。

 

 

そのアイデアを考えつくように、日々の仕事のやり取りの中で、アドバイスやヒントを与えていくのが課長などのマネジメントです。よくマネジメントの役割には大きく4つあるといわれている中の「仕事の改善」というヤツです。

 

この役割は、やはり現場密着でないと、なかなかいいアドバイスができないものです。メンバーは毎日、机に向かって一所懸命仕事に取組んでいます。でもその様子をよく見てみると、いろいろと悩んでいたり、たくさんの処理にうんざりしていたりと、快適に仕事が進んでいるときだけではありません。

 

そのような細かい状況をしっかりと見極めて、話しかけたり、困りごとを聞いたり、一緒に考えたりというようなコミュニケーションがとても大切なポイントなのです。いくら何でも話せる上司部下の関係だったとしても、わざわざ電話やメールで、そのような仕事上の細かい話をしてくる人はいません。

 

でも、そんな些細なやり取りこそが、仕事をうまくこなして、快適に進めるためにはなくてはならないのです。

 

そんな目的で転勤したわけですが、実際に行ってみると状況は考えていたよりもだいぶ深刻で、先日の同僚の死をきっかけに退職するというメンバーがいたり、産休に入るメンバーが出てきたりと、まずはメンバーの補充からスタートです。当然、店主自身もプレイングマネージャーとして、実務の多くの部分を担当することになり、メンバーの細かい状況を把握して、アドバイスなどという状況には程遠い感じになってしまいました。

 

この時期が、店主の会社人生の中で最も仕事がうまく行かずに悩み、苦しんだように思います。

 

つづく…