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IVYおじさんの創業日誌

所得税

以前このBlogにも書いたが、現在クライアント企業からの依頼で、現業部門から異動してきた未経験者を、短期間で人事の専門性が身に付くように個別コーチをさせていただいている。

 

基本的には、毎月1冊ずつ市販の専門書をテキストにして読み進め、わからないところや理解しづらい箇所をフォローしていくという内容だ。

 

blog.houkoku-doh.com

 

先週の個別コーチでは、所得税源泉徴収ならびに年末調整が話題となった。受講者から出た質問は「配偶者控除配偶者特別控除はどのように違うのか?」というものであった。

 

確かに字ズラだけだと、この2つの控除の仕組みはわかりにくい。とくに2003年度(平成15年度)税制改正でそれまでダブルで効いていた2つの控除が、片方しか適用できなくなってからは、難易度が高くなった。

 

そこで店主は、「給与所得」「収入金額」「基礎控除」「所得控除」などの概念を解説したうえで、前述の2つの控除の仕組みを説明しようとした。

 

しかし、実務をはなれて久しい店主には、現状の税制に知識がアップデートされておらず、テキストを見ながら解説していながら、つじつまが合わなくなってしまったのだ。受講者には理由を説明し、宿題にしてもらった。

 

所得控除

所得税には所得の種類に応じて所得金額の計算式が異なる。たとえば事業所得の場合は「総収入金額-必要経費」であり、一時所得では「総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)」となる。

 

給与所得には、基本的に必要経費の実費という概念がないので(特定支出控除を除く)、「給与所得控除」を収入金額から差し引いて給与所得額を導き出す。

 

この給与所得控除の存在が、給与所得者の源泉所得税の理解を複雑なものにしているのだ。

 

給与所得控除額は、収入金額に応じてある一定額まで増えていく。ちなみに収入金額が162万5千円までは、一律55万円である。

 

つまり、給与所得だけの場合、収入金額から給与所得控除55万円を差引いた金額が「給与所得金額」となり、それが48万円以下の場合、つまり103万円-55万円=48万円となるので、収入金額でいうと103万円までが配偶者控除の適用を受けられるのだ。

 

サラリーマンの必要経費

この給与所得控除は、他の所得であれば基本的に必要経費の実費を差引くところ、簡易的に一律の計算式で決めている。会社勤めであれば、そんなに必要経費は掛からないという理屈のほかに、会社での年末調整事務を簡便に行うためにエイヤで決めた感がなくもない。

 

ちなみに給与所得控除額は、収入金額によって以下のとおりとなる。

(収入金額)           (給与所得控除額)

1,625,000円まで           550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで   収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで   収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで   収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで   収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上           1,950,000円(上限)

 

65万から55万へ

この給与所得控除額、2018年度税制改正を受け、2020年から金額が10万円引下げられた。同時に行われた基礎控除額の引上げに伴うもので、収入金額103万円以下では、行ってこいで影響はないものの、収入金額が高くなるにつれ、増税となっており、1千万円超では、控除額が220万円から195万円と25万円引き下げられている。

 

このような税制改正がアップデートされいなかったため、テキストの金額を見て、自身の記憶とアンマッチが出てしまい、説明がストップしてしまったのだ。

 

所得税、とくに給与所得部分は結構な頻度で税制改正がなされている。実務を担当していない場合、すくなくても毎年の年末調整や確定申告の際に、前年との変更点を押さえておきたいものである。