正式配属
店主が配属になったのは、総務部本社総務課川崎総務グループでした。グループリーダー(係長)はSさんという40代前半くらいの七三わけのおじさんでした。その他にOさん、Mさんというベテラン女性2人とAさんという8つ上の先輩の4人、店主が5人目のメンバーでした。
職場の担当範囲は、工場の人事と総務全般です。工場自体の所帯がこじんまりとしているので、人事と総務両方の分野を担当していました。
受入説明が終わり、職場のみなさんとあいさつをすると席へ案内されました。となりの席のMさんが机の引出しを開けてくれて「ここに当面使う事務用品とか名刺とか入れておいたから」と声を掛けられ、見ると筆記用具と定規、名刺と社用箋などがきちんと用意されていました。それを見て自分がこの職場で期待されているようでとてもうれしかったことを覚えています。
配属の当日は、Oさんが職場の仕事内容や担当割りなどを詳しく説明してくれ、店主は彼女が担当している勤怠と給与計算の仕事を引継いで担当することになりました。Oさんはグループ全員の担当業務一覧を作って説明してくれ、最初は勤怠と給与計算から担当してもらうけど、ゆくゆくは幅を広げていって人事労務全般を担当できることを目指しましょうと将来の方向性まで示してくれました。
当時の職場は川崎工場450人の人事労務を担当していました。川崎工場は開発から製造まですべての機能が一ヶ所に集約されていて、ここだけで独立した一つの会社としてやっていけるようになっていました。
数か所ある工場の中でも会社創業の地にあり、主力製品はすべて宮城の工場に移っていましたが、その後の雰囲気からするとかなり異端で、一種独立した部品メーカーの雰囲気と気概をもっていたような感じでした。
配属された週の中ごろ、Sリーダーが横浜に外出するので一緒についてゆくことになりました。東横線で横浜へ行き、用事(何の仕事だったかは忘れました)が済んだ後、「これから用事がなければ一緒に食事でもどうだ?」ということになり、2人で中華街に向かいました。
まだ、配属されて日が浅く(おそらく歓迎会の前だったような気がします)いろいろ店主のことについて質問され答えて、自己紹介と面接のような会話をしながらビールをご馳走になりました。
話の内容は忘れてしまいましたが、一つだけ今でも印象に残っていることがあります。 「人事総務の仕事は必ず前倒しでやっておくこと。会社ではいつ、何が起こるかわからないので、総務はいつ、何が起きても対応でいるように、自分の仕事は常に締め切りより余裕をもって終わらせておくようにすることがポイントなんだ」
そんな強く言われたわけでもないのですが、この言葉がとても印象に残っていて、その後の店主の仕事の進め方にとても大きな影響を与えてくれた一言でした。
つづく…