Cafe HOUKOKU-DOH

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人事屋修行記(第13話)

現場応援

正式に配属されたわけですが、すぐに現場応援に行くことになりました。当時はちょうどバブルの絶頂期でカワサキヤマハの大型オートバイが飛ぶように売れていた時代でした。川崎工場は、ホンダ以外の国内全メーカーをお客さんにもっていましたから、まさに大忙しでした。

 

交替勤務や休日買上をやったり、派遣社員を増員したりしてはいましたが、それでも人手が足りず、間接部門から生産ラインに応援を出して対応することになったのです。このような応援は頻繁に行われていて、特にキャパシティの小さな川崎工場では日常的でした。

 

総務と経理で1名の割り当てです。そこは今までいなかった人間であり、たとえ配属先の仕事をするにしても当面戦力にならない新人に白羽の矢が立つのは当然でした。

 

応援先はCVKキャブというカワサキなどの大型4気筒のオートバイについているヤツの連組みという組立工程の後ろ側でした。3つくらい前の工程で一つずつのキャブを4個ひとまとめにしたあと、チョークを引くためのステープレートを組付ける工程を担当しました。

 

宮城での三ヶ月間の現場実習で覚えてきたさまざまなことを駆使して応援初日から張り切って作業しました。スタートしてみると単組みと連組みの違いもあるのかも知れませんが、実習で経験してきた作業に比べ、ラインを製品が流れるスピードがゆっくりで楽々とこなすことができました。

 

そんな感じで一週間程すると、周囲の人やスタッフ、班長から「手が速くて覚えがいい」と評判になり、ラインで休みが出たり、手が空いているときは別の工程や作業を手伝わせてもらえるようになりました。

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今考えると結構重宝に使われていた気もしますが、店主としては一日中、同じ作業をしているより、違ったことができますし、なにより組立ラインの仕事をどんどん覚えられるので、少しでもみんなの役に立てるような気がしてとても嬉しかったことを覚えています。

 

店主は以前から仕事には「雑用」というものはないと考えています。営利企業なのですから効率面から考えてもやらなくていい仕事はなくなっているハズで、どんな仕事でも周囲のみなさんの役に立つために一生懸命やるべきという姿勢で仕事に取り組んできました。

 

新人の時期はとくにできないことばかりでも、自らの与えられた担当業務をしっかり覚えて期待に応え、期待以上の結果を目指すことで、周囲のみんなが少しでも楽になれば、自分も少しは会社や職場に貢献ができて、この場所に存在している価値がある。そんな風に考えながら仕事に向き合っていました。

 

仕事の大小や軽重を問わず、一人ひとりにはそれなりの存在意義があり、それぞれのレベルでの価値貢献があると思いますので、それを考えて仕事に取り組みたいものです。

 

つづく…