素材と織り
アイビーのネバならぬでいうと、メンズのベルトについては、ウールのパンツには革のベルトをあわせることと、革製品を身に付ける際には、財布などの小物も含めて色調をあわせることくらいである。
まあ、ウールのパンツにわざわざリボンベルトをあわせようと思う人も少ないと思うが、逆に折り目のついたコットンパンツに革のベルトは、前述のルールからいうとOKだ。
しかし店主の感覚からするとどうもコットンパンツに革のベルトは、素材の重さというか、重厚さがアンバランスに思えてしまい、しっくりこない。
同じようにコットンパンツに革靴、とくに表革の革靴をあわせるのは、どうにも違和感があるのだ。
このコーデは鉄板とされている。メンズファッション誌などでもまっさきに取り上げられる古典的なコーデである。たまにはこの組み合わせでと身に付けて出かけても、居心地が悪くてすぐに家に帰りたくなってしまうのだ。
この素材や織りの質量というか質感に、店主は結構敏感である。シャツは同じコットンでも重量感のあるオックスフォードクロスでないと落ち着かない。夏など生地が厚くて着れたものではないのだが、ポプリンやツルイではダメなのだ。
ツイードのジャケットにコットンのパンツやホワイトジーンズも気持ちが悪い。せめてワンウォッシュ程度のブルーデニムくらいの素材感は欲しい。
ツイードのジャケットにウールのパンツをあわせるとしても、着やすくスーツによく使われるサキソニーより、もっと重厚な感じのするフランネルの方がフィットするし、全体のバランスがいい。
この感覚は好き嫌いに似たものかもしれないが、見た目の印象を左右することにもなるので、気分よく洋服を着るためには大切なポイントだと思う。
コーデを紹介する書籍などにも、このポイントはあまり触れられていない。なんどもトライして磨いていくしかないのかもしれない。