Cafe HOUKOKU-DOH

~ホッとひと息的な読み物でブレイクするサイト~

HD創業日誌

スライド生成プロンプト

先日、クライアントから「評価制度の客観性を担保するために生成AIを活用した仕組みを企画できないか」という相談があった。その意図は、人が評価すると好き嫌い・印象・感情が入り込み、客観性が崩れる一方で、AIならばバイアスが抑えられるのではないかという期待である。

 

これに対して、ここのところの生成AIの研修から、日常業務への適用まで試行錯誤してきた感触として、人事評価プロセスへ生成AIを組み込むのは現実的で、ここ2〜3年のうちにAI入りの人事評価クラウドが当たり前になるという確信があった。

 

ただし、前提条件は結構ハードルが高い。評価対象者の行動や成果を日々データ化する、つまり定量・定性のログをDXツールを用いて蓄積していることが必須である。ITツールで仕事のやり方を変え、行動をすべて記録していく。そのうえでなら精度の高い評価が可能になると考えた。

 

このリクエストに対し、しっかり説明し理解をしていただかなければならない。企画資料づくりの相棒はGoogleWorkspaceのアプリGeminiである。Google製なので検索に強く、コンテクスト処理量が大きいのが特徴だが、今回は特に「ディープリサーチ」機能が効いた。

 

 

プロンプトを入れると、まずA4一枚ほどのリサーチ計画を数秒で提示。的外れなら修正し、合っていれば実行。追加検索が走るため5〜10分ほどかかるが、「リサーチ中なので一旦退室して他の仕事を」と表示され、終わればスマホに通知が来る。

 

結果レポートはA4で10〜15ページのボリューム。読み込むのに骨が折れるほどだが、内容は秀逸だ。人事評価へ生成AIを適用する技術要件、データ取得の設計、バイアスの取り扱い、説明可能性の確保、法令・倫理面の留意点まで整理されている。

 

ただし、詳しい人には有用でも、知識が浅い相手には情報過多で難解だ。そこで、ポイントを絞ったスライドに要約し、誰にでも説明できる形に整えることにした。

 

思い出したのが「まじん式プロンプト」である。Xで無料公開されている、Gemini前提のGoogleスライドでの生成プロンプトだ。やり方は、GeminiのGem機能にまじん式プロンプトをセットし、スライド化したい資料データをアップロードするだけ。Geminiがスライド作成用コードを生成し、Googleスライドにコードを読み込んで実行すれば完成だ。

 


www.youtube.com

 

今回はじめて試したが、出来栄えにおどろいた。ディープリサーチのプロンプト入力から、22枚のスライドが約1時間半で仕上がった。店主が考えていた方向性と一致し、違和感がないどころか説明の見通しがついてきた。これでクライアント向けの補足資料も整い、打ち合わせに使えるレベルになった。

 

今回の一連のプロセスで、生成AIの進化に改めておどろかされた。検索の深さ、要点抽出の精度、スライド化の速さ。資料の枚数や作り込みでごまかす時代は終わったと痛感する。一方で、最後に必要なのは「本質はなにか」を的確に把握する力だ。

 

なぜそれが正しいのか、なにを目的にどのように適用するのか、どのデータが必要で、どこにリスクがあるのか。ここを誤ると、立派な見た目の資料が誤った意思決定を導く。

 

つねに情報をアップデートし、思考のトレーニングを積んで人間がなすべき役割をしっかり果たせるよう、AI時代のキャリアについて考えていかなければ、と思わせられたのであった。