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気持ちのマネジメント(第8回)

なぜ、あなたの言葉はただの「雑音」になるのか?

「あなたの言葉はただの雑音」。衝撃の言葉である。

  
信頼関係が崩れていれば、言葉は届かない。上下関係がある職場では、聞くふりをする技術も巧みになる。「はい」「なるほど」といった相槌は、礼儀としては正しいが、内容が空虚なら確かに雑音にしかならない。伝える側は音量を上げがちだが、聞く側は周波数を合わせない。それで双方の疲労だけが蓄積する。

 

信頼関係が崩れているかどうかは、ふつうに社会生活を送っている人ならわかる。しかし人は自分に都合よく解釈する生き物だ。部下は自分を信頼している、と勝手に思い込む。成果が出ている、期限を守っている、笑顔で挨拶している——そんな表面的なサインを信頼の証拠だと誤認する。

 

一方で、取引先や家族に対しては敏感になる。思春期の子どもが少しでも機嫌を損ねたら、言い方を変え、タイミングをずらし、場を整える。なぜか部下に対しては、その細やかさが抜け落ちる。

 

理由は単純で、職場の関係は「業務でつながっている」という安心に依存しがちだからだ。契約と役割があるから大丈夫だ、という油断が、信頼の点検を怠らせる。

 

「信頼はなくすのは一瞬だが、取り戻すのには時間がかかる」。聞き慣れたセリフだが、ぜひ対象に部下を含めて考えて欲しい。