部下のモチベーションを奪う「マイクロマネジメント」という病
マイクロマネジメントが良くないというのは誰もが知っているいわば常識のようなものだ。しかし、なぜ良くないのか、部下の気持ちにフォーカスして考えてみたい。
マイクロマネジメントとは、管理者が部下の業務を細部にわたって過度に把握し、指示や干渉を行うマネジメント手法とされる。
上司からの細かな介入は、部下にとって「君の能力を信じていない」「君に任せられるレベルじゃない」という無言のメッセージとなる。「どうせやっても口出しされるなら、言われた通りにやればいい」という、指示待ちの無気力感を生む。
さらに失敗から学ぶ機会や、自分のやり方を試す裁量が奪われることは、「このままでは成長できない」という強い焦燥感につながる。自分のアイデアや工夫が否定され続ければ、自信を失い、挑戦を避けるようになる。

過度な報告要求や頻繁な確認は、部下に「常に監視されている」という心理的な圧迫感を与える。仕事そのものよりも、上司の機嫌をうかがい、報告のための準備に時間を割くようになり、精神的な負担が増大するのだ。
「自分が、ここまで細かく口出しされたらどう感じるだろうか?」
そう自問自答したとき、答えは明白である。「きっと、イヤな気持ちになる。信頼されていないと感じ、やる気をなくすだろう」と。
ポイントは「部下をリスペクトする」という一点に尽きる。部下をリスペクトするとは、「仕事のやり方をすべて許容すること」ではない。部下の能力を信じ、その裁量と判断を許容できる範囲でがまんして任せることだ。
多少の非効率や、自分の考えとは違うやり方であっても、任せる。そして、もし失敗したとしても、責めずに成長の機会とすることだ。
自分がそうされたら、イヤな気持ちになると思うのであればやめるべきである。部下をリスペクトし、勇気を出して任せることで、部下は上司の期待に応えようとがんばりはじめるのである。