経団連
前々職の会社は、親会社のお付き合いで経団連に加入していました。会員企業全体での定期的な会合があり、各社社長に対し出席案内が届きます。ほとんどの会社では、このような定例会合にトップが参加することはなく、代理の社員が出席をしています。
当時の社でもこれら経団連関連の定例会合へは、基本的に総務部長か人事部長が代理で出席することになっていて、店主にも定期的に順番がまわってくるのでした。
会合は通常平日の日中で、大手町にある経団連会館の会議室で行われ、昼食のお弁当を取りながら議事が進行していきます。1千4百社の会員企業のうち、すべてが出席することはないにせよ、数百名の参加者が一堂に会する会場は圧巻です。
しかしながら、どの会社も同じような感じの代理出席と思われる管理系管理職のおじさんが出てきていて、あいさつや名刺交換をするわけでもなく、ほとんど義務的に来ているという感じです。会議が始まる時間までは、あらかじめテーブルにセットされている会議資料を読んでいるくらいが関の山です。
議事も淡々と進行していきます。ほとんどが団体の活動報告などであり、あらためて議論をする内容ではありません。もっとも議論をするようなテーマであっても、あの人数ではまともな議論はできないですけど。
会合での一番の楽しみといえば、昼食に出されるお弁当です。経団連会館はパレスホテルにサービスを委託しているようで、ホテルの給仕係の制服を着たメンバーがお弁当やお茶などを運んできてくれます。
自分のお金ではおそらく食べることのない数千円はするであろうお弁当をいただくのですが、数百名の参加者が、会合の議事が進行している中、黙々と食事をする光景はとても不気味です。その雰囲気にも負けずに報告資料を読み上げている方はもっとたいへんかと思いますが。
お弁当のあとのコーヒーが出て、会合もお開きとなるのですが、この予定調和の極みのような会議こそ、わが国日本式スタイルの象徴だと思ったことを、今でも鮮明に記憶しています。あの会議に一体どんなアウトプットがあるのかと、外国籍の人が見たらなんと思うのでしょうか。
つづく…