マイナ保険証
いよいよ12月から従来の保険証が廃止となり、マイナ保険証への全面切り替えがスタートする。店主は、健康保険の実務に長年携わってきたので、この制度にはとても期待している。そこで、切り替えによってなにが変化するのか、ここで整理したいと思う。
マイナ保険証への切り替えでなにが変わる?
まず、①健康保険証の新規発行が終了する。基本はその代わりとしてマイナ保険証を使うことになるのだが、マイナ保険証に切り替えていない社員やその家族については、②「資格確認書」という保険証の代わりになるものが発行される。
さらに病院で読み取り機器の故障などで、マイナ保険証が使えない場合に備えて、③「資格情報のお知らせ」が各健保から会社経由で配布される。これには、被保険者資格等の基本情報が記載されており、その内容を窓口で伝えマイナ保険証で本人確認し、保険診療を受けられる。
協会けんぽが発行する資格確認書は、4、5年程度の有効期限が設定される予定だそうだ。なので、退職時には現行の保険証と同様に回収、返納の手続きが必要だ。
まとめると、
①健康保険証の新規発行終了
②資格確認書の発行
③資格情報のお知らせ配布
となる。
ちなみに現行の保険証は、12月の廃止後1年間有効とする経過措置が設けられる。
12月以降の事務フローの変化
12月以降、現行の保険証がなくなるということだが、入社などの資格取得時には、その社員と扶養家族のマイナ保険証の有無によってフローが変わってくる。
マイナ保険証を持っている場合には、資格取得届を提出するだけでOK。その情報をもとにマイナ保険証に紐づいている保険証情報が更新される。従来までの資格取得手続きから物理的に保険証が届くまでの間もマイナ保険証が使えるので、病院を受診する側は保険資格の変更などを意識することがなくなる。
一方でマイナ保険証を持っていない場合には、従来の保険証の代わりに資格確認書が発行される。そのため事務フローとしては従来通りである。
ちなみにマイナ保険証を持っていない場合、申請によらずに資格確認書が発行されることになっているそうだ。しかし、協会けんぽの案内によると、資格確認書の発行に係る申請がない場合は、相当な期間を要すると注意喚起しているようである。
資格喪失時についても同様だ。マイナ保険証の場合には届出のみ。マイナ保険証を持っていない場合には、従来と同様のフローで資格確認書を回収して健保に返納しなければならない。
さらに資格確認書には有効期限があるので、有効期限が切れる場合には更新され、差し替えのための配布、回収作業を会社が行うことになる。
会社が対応すべきこと
保険証廃止後に会社が行うべき対応は、次のとおりだ。
①マイナ保険証に関する説明
②資格確認書の管理
③12月以降入社者へのマイナ保険証有無確認
まず①として、これまで説明したことを社員にも理解してもらう必要がある。とくにいまだマイナ保険証に切り替えを行っていない社員には、前述した本人、会社双方のメリットを理解してもらい、切り替えを促したい。(ひな型が必要な場合には方告堂までお問い合わせください!)
ちなみにマイナ保険証を利用するためには、①マイナンバーカードを取得しただけでは足りず、②マイナ保険証の利用登録のステップを踏む必要がある。ここらへんの情報提供も重要になってくる。
さらに②として、資格喪失時などに資格確認書の回収が必要かどうか、会社側として把握しておく必要がある。
さらに③、新規入社や扶養加入の際に、マイナ保険証の有無を確認する必要があらたに発生する。社内帳票やワークフローの申請フォームにもきちんと反映しておきたい。
来年3月にはマイナ運転免許証もスタートし、今後マイナンバーカードを持ち歩く頻度が増えることで、紛失などのトラブルも増えることが予想される。
+αの対応として、紛失時の手続きなども一緒に案内しておくと、万が一の場合にも安心であり、マイナンバーカード利用への理解もより一層深まるのではないだろうか。
事務工数削減による生産性向上を目指し、マイナ保険証への切り替えについて社員のみなさんの理解、協力を得るようていねいな対応を心掛けたい。