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人事屋修行記(第92話)

昇格試験

2005年の春に主任に昇格して4年目の年を迎え、そろそろ役職者の昇格試験、マネジメントアセスメントに推薦される年次になってきたなと漠然と考えていました。仕事柄マネジメントアセスの事務局などをやらせてもらっていましたから、どのような演習を行って、何を評価されるのかは自分なりに把握していました。

 

何か自分なりに準備をしておかなければと考え、やはり経営的なセンスやビジネスパーソンとしての常識を身につけておかないといけないと考え、日経ビジネスを年間購読することにしました。1年契約で2万5千円と決して安い金額ではありませんが、自腹を切ることで真剣に読むだろうという効果も期待して申し込みました。

 

その年の秋に予想どおりアセスメントの切符をいただきました。その当時、管理本部ではアセスメント対策は一切行っておらず、すべて独力でのチャレンジでした。もっと具体的な準備も必要だと考えて、ビジネスパーソン向けの会計の本なども何冊か読んで勉強しました。

 

アセスメント(アセスメントセンター方式)での演習は全部で4つです。インバスケットと呼ばれる業務処理演習、グループディスカッション、シナリオを渡されて戦略を作って発表する分析発表演習、そして部下指導の場面で対人スキル評価する名物の「面接演習」です。

 

www.msc-net.co.jp

 

それらすべての演習は、受験者の状態を同じレベルに保つよう、パソコンは一切使わずすべて紙に手書きで書類を作成し提出します。店主は、世代ということもありますが、若い頃からよくホワイトボードに板書する書記役をやっていましたし、考え事をしながら文章をまとめる際には基本的に手書きしていましたので、同年代の誰よりも手書きの量が多い社員でした。

 

それでもインバスケットなどで、制限時間2~3時間の間、真剣に集中して書類に手書きをしていると、後半になってくると、手が疲れてきて力が入らなくなってくるのです。これにはさすがにビックリしました。それほどたくさんの文字を書いていたことにも驚きましたが、文字を書いていて疲れて書けなくなることがあるのだということに生まれて初めて気がつきました。

 

面接演習では、とにかく設定にあるとおり部下役にイエスと言わせることばかりに注意が向いてしまい、終了後の講師からのフィードバックで「なぜみなさんは、部下の話を聞いてあげないのですか」との言葉にハッとさせられました。

 

 

3日間の演習を通じて感じたことは、アセスメントは演習だと思って取り組むのではなく、設定されたその人物やシチュエーションになりきってやることが肝要であり、その取組み姿勢がいつもの仕事で発揮している能力をしっかりと出せて、評価してもらえるということでした。

 

昇格試験だからといって気負いこむ人がいますが、日頃出せていない能力をあのような特殊な場面で出せるはずもなく、また、日頃そのような能力を発揮して活躍しているからこそ、その実績を買われて昇格試験に推薦されているのです。日常の仕事ぶりをしっかりと出し切ることが何よりも重要だと感じさせられた3日間でした。

 

つづく…