Cafe HOUKOKU-DOH

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IVYおじさんの創業日誌

M&A

昨日朝、ニュース速報を見て飛び上がるほどおどろいた。ホンダと日産が経営統合に向け、協議をはじめるという。日産傘下の三菱自動車の合流も視野に入れているそうだ。

 

この経営統合で世界販売台数7位のホンダ、8位の日産の3社は、トヨタフォルクスワーゲンに次ぐ3位になる。

 

クルマの電動化に向け、莫大な開発費をまかなうにはとにかく台数を売って1台あたりの開発費をおさえないと、適正な価格を実現できない。そういう意味からいうと今回の経営統合は経済合理性がある。

 

 

自動車業界は100年に一度といわれる産業変革による生き残り競争が加速している。前述の文脈からグループPSAとフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併した多国籍企業ステランティスなどは記憶にあたらしい。

 

今回のニュースを見てあらためて感じたのは、店主の会社員人生もM&Aに明け暮れたものであったことだった。

 

新卒でホンダ系の部品メーカーに入社し、5年後にはホンダ100%出資の部品メーカー2社を吸収合併した。その後も2002年に沖電気からカーエレ部門を、2012年に昭和電工から熱交換器部門をそれぞれ事業譲受で受け入れてきた。

 

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最初の吸収合併は3社をひとつの会社にするもので、当時は融合融和を合言葉に3年という長い年月をかけて労働条件を統一していった。手間と時間をかけた割には合理化には寄与せず、店主が退職する約20年後でも「旧●●会社出身」という会話がよく聞かれた。

 

「社風」という単語は就職活動時によく出てくる。フワッとしているようだが、仕事をしていく上では結構活動を左右する。

 

会議の仕方やアポイントの取り方、電話やメールへのレスのタイミングから話すスピード、年休や休憩の取り方から仕事、環境、処遇などへの関心度まで、ありとあらゆることが会社ごとに違うのだ。

 

前述の3社合併では、全社員の約3/4が宮城県の工場に集中していた。それぞれの会社の主力工場も1.5km圏内にあり、同じ白い作業服を着て、同じ地域や学校で育ち、そればかりか親兄弟が3社にそれぞれ勤めていた、などということもめずらしくなかった。

 

それなのに、会社が違うとこれほどまでに仕事に対する価値観も含め、違うものかと驚かされたのであった。

 

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その後の事業譲受では、規模がそれぞれ60人、300人と受け入れ側と比較して小さかったため、目立った軋轢はなかった。それでも社風の違いを意識して転籍手続きやその後の仕事のすすめ方を工夫するよう学習できたのは大きかったと感じている。

 

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合併当初、銀行合併の経験談で「合併後に入社した新卒者から役員が出るまでは、旧会社のしがらみは残る」と聞いていたが、それは真実であった。というより、役員が出る前に吸収合併され、会社は消滅してしまったのだが。

 

今回の経営統合では、合併ではなく持ち株会社を作って双方の会社がぶら下がる形で検討されているという。店主もそのゆるやかな統合方法には賛成だ。合併作業というのは、途方もなく時間と労力がかかってしまう。

 

変化のスピードが速い時代である。最低限の手間で最大の効果を生む手段を取らなければ、なんのために経営統合したのか、わからなくなってしまう。

 

元親会社のM&Aニュースを耳にして、自身の歩んできたキャリアを振り返った1日であった。